皆さんこんにちは、以下はファイナルデザインチームのリードデザイナー、アレコ・ポルスに代わって投稿されました。
「タイタンの目醒め」がリリース目前の今、皆さんは、この拡張版および将来に向けて我々が探究しているパラディンの新たなデザインスペースの片鱗を目撃していることでしょう。これはプリーストに続き、今年2番目のクラスのチューンナップです。この機会に、なぜこれらの変更を行ったのか、そしてこのようなクラス調整において我々が何を考慮するか(あるいは考慮しないか)についてお話ししたいと思います。
我々がこの種の変更を行う際には、主に2つの点を考慮します:1) プレイヤーがそのクラスを楽しんでいるか(最も重要な検討事項)、そして 2) そのクラスがどれだけデザインの余地を持っているか。
その通り、この種の変更においては、「パワー」は考慮されないのです。我々は「パラディンは既に十分強く見えるのに、なぜこのクラスを上方調整したのか?」という疑問やコメントをいくつも目にして来ました。簡潔な答えは「クラスのチューンナップにはパワーは関係ない」ということです。目的はクラスの根本的な問題を調整することであって、パワーレベルを調整することではないのです。デザイン的な視点からは、パワーの調整の方が簡単です――カードの数値を調整するだけでパワーを上下できますし、実際に頻繁に行っています。我々にとって、パワー調整は定期的なバランス調整アップデートで行うものであり、クラスのチューンナップで行うものではありません。「タイタンの目醒め」において、パラディンが強すぎたり、弱すぎたり、つまらなすぎることが判明した場合、我々には後からそれを調整する手段が山ほどあります。
今年度の初頭、我々はプリーストに変更を加えました。それは第一の、そして最も重要な検討事項「プレイヤーがそのクラスを楽しんでいるか」において、プリーストが最大の外れ値だったからです。プリーストにはデザインの余地は十分にありましたが、その大部分が、プレイヤーの皆さんが見たいとは思わないようなスペースにあったのです。
パラディンにも多少、同様の問題がありました:確かにパラディンを愛好するプレイヤーはいるものの、パラディンはあまりに「基本的」すぎてプレイヤーが愛着を維持しにくい、という見方もあるのです。そういった感情が反映された結果、我々は何年もの間、パラディンがメタにおいてどれだけ強力であっても、あまりプレイされて来なかったのを見てきました。
しかしながら、パラディンのより大きな問題は、第二の検討事項:そのクラスがどれだけデザインの余地を持っているか、でした。我々にとってパラディンは常に、デザインが困難なクラスの上位にいました。苦心の末に、気が付いた時には、数少ないクラステーマに何度も舞い戻っていたのです:バフ、新兵、ピュア、それからバフ、そしてまた新兵、なんどめだピュア…その上さらに、「パラディンはフェアであるべし」という制約もありました。それを直接的に行う手段には限りがあり(「平等」や「神聖なる恩寵」)、基本的に、パラディンにクールなことをさせたい場合、対戦相手にもその恩恵を与えなければならなかったのです。我々は時間をかけて、「フェアであるべし」という制限を段階的に減らしつつ、パラディンは正義である、と変わらず感じられるような別の手段を探し続けました。
その素晴らしい例となるのが「オーラ」です。効果を隠し立てする「秘策」と入れ替わりで登場した「オーラ」は、先に効果を開示する点で、より正義らしく、よりフェアに感じられます。また、オーラは原典の「World of Warcraft」により忠実です――パラディンのキットにはオーラ系の能力が含まれているのです。
オーラは、パラディンのデザインを推し進める新たな方向性を与えてくれました。我々は今後も定期的に――おそらく拡張版ごとに1つずつ――オーラを増やしていく予定です。そしていずれは、オーラに特化した「オーラパラディン」デッキなども探究するかもしれません。
今拡張版で探求している、パラディンのもう一つのメカニクスは「復活」です――これまでに一度もなかった要素です。ですよね?ねっ?(目配せ)これも「World of Warcraft」を踏襲した効果の一つであり、さらに探求する余地があります。果たして「オーラ」と「復活」はパラディンに十分な新デザインスペースとなるでしょうか?かもしれません!ならなければ、我々は探求できる別のスペースをさらに探し続けます。
そこから導き出されるのが、クラスのチューンナップを行うかもしれない第三の理由――すなわち「いいこと思いついた!」です。必ずしも、とあるクラスが根本的に行き詰っているから調整を行うとは限りません。ただ単に、我々に試してみたいアイデアがあり、それを実行するのに適切なタイミングだったから、というだけかもしれません。現状、今年度に予定されているクラス/コアセットのチューンナップはこれが最後ですが、我々はこういった変更をさらに柔軟に行っていくことを、今後の目標としています。
今のところは、パラディンと「タイタンの目醒め」の全てをお楽しみください。大いなる「目醒め」のリリースはまもなくです――その時に、酒場でお会いしましょう!